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おやじぎゃぐ講座(特別講義・芸能人に見るおやじぎゃぐ)

 おやじぎゃぐ講座特別講義第2回をお届けしましょう。
 
 今回は芸能人に見るおやじぎゃぐです。今までは、最終的にどうおやじぎゃぐを生かすかを、個人に任せる方向でお話してきました。しかし、自分なりのおやじぎゃぐを追求しようとすれば、そこには学習するうえでの目標、すなわちお手本も必要です。
 そこで、誰にでもわかりやすい芸能人をひとつのモチーフとして、おやじぎゃぐをどう生かすかを、分析していくこととします。
 なお、参考にすることは大切ではありますが、おやじぎゃぐワールドでは、それが時として反面教師となることが多々あります。くれぐれもご注意ください。

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1.独走バクモン
 
 
おやじぎゃぐを前面に出さず、持ち前の話術とのコラボで笑いをとる爆笑問題太田光氏を代表とするタイプ。

 たとえば「ケーキ」という話題が出た場合、話に出るや否や、「ケーキといえばねえ、ケーキ回復に・・・」などと、自然と話を誘導し、そのあとはひたすら1人芝居をしつつ、徹底的に突っ走ります。特徴としてあげられるのは、最初にふったネタとは、まったく関係のないレベルまで話が拡大されるところです。
  
 このタイプに求められるのは、ぎゃぐを作ることのできる能力ではなく、話をいかに延々とつなぎ続けられるかの1点に尽きます。なお、周りの空気を読み間違えると、単なる自己チューでしかなくなりますので注意が必要です。

 初心者が真似しやすいタイプではありますが、ネタからうまく話をつなごうとする際に、上級者でも使うテクニックであり、汎用性が高いタイプといえます。



 2.キャラクター城島型

 歌って踊れるおやじぎゃぐらーという意味ではありませんので、ご注意を。唯一のジャニーズ枠です。
 
 他のタイプと違うのは、ぎゃぐが寒いということを自ら認めている点です。しかも、「こいつはつまらんぎゃぐをしゃべるに違いない」という相手の期待に、見事な形で応えるところに喜びを感じ、それを自分のキャラクターとしています。
   
 このタイプはネタの在庫量が大きくします。リアルタイムにぎゃぐが出てこなくてはならないうえに、寒さの度合いを研究し、場の雰囲気の中でもっとも「寒い」ぎゃぐを出すセンスが求められます。
 ネタを出すことならまかせて!という方にはおすすめです。



 3.ペーパー導火線型

  おわかりかと思いますが紙ではありません。林家夫妻の方です。唯一、チームワークを必要とするタイプです。
 かなりお寒いぎゃぐにもかかわらず、隣に笑いこける人間が存在するために、なんとなく面白いのではないのか?とまで思ってしまうある意味卑怯な方法をとります。ある意味では、「バクモン独走型」の対極にあります。

 よく見ればわかると思いますが、「まわりが寒くなること」をまったく恐れていません。それどころか、その脇にいる人間が笑っていれば満足するという点に、個性が見られます。このタイプの曲者な点は、1人ではできないことと加え、単に仲良しやのろけと思われない人間関係が2人の間に成立しているところです。言い換えれば、ぎゃぐの能力とは何ら関係のない部分の割合が大きいといえ、総合的な難易度はかなり高いと考えるべきです。



 4.デーブ満足型

  おやじぎゃぐ界の有識者の間でも、3秒は動きが止まる、影の実力者デーブ・スペクター氏を頂点とするタイプです。その技術の高度さゆえに、寒さどころか、どこで寒くなればいいのかさえ見失うほどです。松尾芭蕉どころの騒ぎではない、「わび・さび」の世界を提供してくれています。
  
 ぎゃぐそのものはたやすく真似できます。しかしながら、ぎゃぐを出した後、これでもか!というくらいに自信満々で、普通の感覚ではそう会得することのできない技術であるといえるでしょう。また、一歩間違えると単なるうざいオヤジになってしまうので気をつけなくてはなりません。下手に手を出さないほうが いいタイプといえるでしょう。




 5.複合マギー型
 
 口だけならつまらないにもかかわらず、たとえば、そのお酒おちょこにチョコっと頂戴!などと言って、チョコでできたおちょこを出すといった、度肝を抜く小道具を予め用意しておき、併用することで笑いをとるタイプです。
 
 これまでの講義から、笑えるものはおやじぎゃぐではないだろう、という意見も出そうですが、小道具の馬鹿さ加減で笑いをとっているだけで、ぎゃぐそのものは寒いため、おやじぎゃぐの源流を進んでいるといえます。
 基本は、1980年代のマギー四郎から始まったといわれ、長きにわたり「マギー型」と言われ続けていました。20世紀末になって、元歌手でバラエティでも活躍していたM.Tがこの世界に進出。一斉を風靡し、「T型」と言われるかと思われた時期もありました。しかし残念ながら、人間として許すまじき不祥事を起こしたばかりか、言い訳におやじぎゃぐを用いてしまったことが災いし、その功績は残念ながら認められることはないまま今に至ります。

 21世紀に入り、マギー四郎の弟子であるマギー審司が新境地を開拓しこの世界に進出。代表される人間は変わったものの、現在も 「マギー型」の源流はそのまま継承されています。そして、お笑いの巨匠・明石家さんまもまさかのこの世界に衝撃的なデビューを飾ります。服からしょうゆ瓶を出して「しょうゆうこと」というぎゃぐは、記憶に新しいところです。
 
 このタイプは、小道具をもっとも有効に活かせるぎゃぐと、使う小道具の意外性を、綿密に考えておかなくてはなりません。また、意外と忘れがちなのは、隠し場所です。「どんぶりの水にどんぶり漬かった」というぎゃぐが思いついたところで、スーツの下にむっくりとどんぶりのシルエットが浮かんでいるようではだめなのです。思っている以上に計算力が必要とされます。
 なお、このタイプを模範とするのは大いに結構なことではありますが、発する場所を誤ると、単に「変な人」のレッテルを貼られてしまうことを肝に銘じたほうがいいでしょう。また、まちがっても、中途半端なマジックのプロになってしまわないようご注意ください。
   
 というわけで、今回は実例からタイプ分析を行ってみました。完璧なおやじぎゃぐラーをめざすあなたは、この先駆者の教訓をいかして、自分なりのおやじぎゃぐワールドを構築してみてください。

 今回はここまで。おあとがおさむいようで。